見果てぬ夢|石井妙子「ウェンカムイ 死刑囚・木嶋佳苗の生痕」第18回 | 週刊文春 電子版

婚活サイトを利用した詐欺と殺人に味を占めた木嶋は、時間を置いて2度目の狩りのシーズンを迎える。自意識を肥大させ料理学校卒業後に描く自らの夢に向かって。

2012年3月2日、さいたま地裁では検事による被告人質問が行われた。午前中の審理が終わる間際、検事は声を震わせて、木嶋佳苗に問うた。いや、それは質問ではなく、独白だった。

「あなたは、あなたは、こんな目的のために……、あなたは、こんなことのために……。やめますっ、終わります」

ふたりを殺した直後、木嶋は高級料理学校ル・コルドン・ブルーの学費を納めている。

田端輝夫(仮名)を殺して製菓コース、相川幸三(仮名)を殺して製パンコースの学費を払ったのだ。

「この料理学校の学費のために人を殺したのか」。そう検事は問いかけたのだった。

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source : 週刊文春 2024年12月19日号

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