第9回「無理心中」は殺人なのに量刑軽くなる傾向 遺族から疑問の声も

有料記事見過ごされた児童虐待 「無理心中」をなくすには

聞き手・高橋俊成

水野智幸・法政大法科大学院教授

愛知県で2022年8月、父親(44)が妻と子2人を殺害する事件があった。名古屋地裁は今年7月、検察側の求刑通り懲役30年の判決を言い渡した。有期刑では最も重い判決だが、遺族側からは「3人を殺害したのに、刑が軽すぎる」との疑問の声が上がっている。一般に、親族間の事件や「無理心中」の要素がある事件は、同じ殺人でも量刑は軽くなる傾向があるとされる。なぜなのか。元刑事裁判官の水野智幸・法政大法科大学院教授に聞いた。

――どのような背景があるのでしょうか。

明示はされていませんが、一番は被告人自身が愛する家族や子どもを失ったことで被告はすでにかなりの罰を受けている、との意識があるのではないでしょうか。動機や経緯の面でも、たとえば愛知の事件では妄想があったり、子どもを残していけないと思ったりと、金や恨みのためではない。間違った形ではあるが、「子への愛情」が背景にあったということになったのだと思います。

――遺族側からは、「愛情が犯行の背景にある」との見方に否定的な意見も出ています。

「司法が無理心中を正当化す…

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