『ホタルノヒカリ』『ヒゲの妊婦(43)』『西園寺さんは家事をしない』――時代を映す魅力的な女性たちを描き続けてきた漫画家のひうらさとるさん(58)。連載が途切れない人気ぶりで、今年、漫画家生活40周年を迎えました。共感しまくりのストーリー展開や、人間味あふれるキャラクターたちに 惹(ひ) かれる読者は多いです。どうやって生み出されているのか? その原動力について聞きました。
小6以来のペンネーム
恋愛から遠ざかっていた<干物女>や、家事アプリ企業に勤めながら全く家事をしない女性、突然高校に通い始めた64歳の母――枠からちょっとはみ出したような主人公たち。明るい彼女たちがつまずきながら奮闘し、それでも前を向く姿は、周囲や世間が考える像に自分を当てはめて、狭い世界で生きなくてもいい……と、読者の背中をそっと支えてくれます。
大阪府生まれのひうらさんは、幼い頃から漫画を読むのが好きで、自分でも描いていました。
ペンネームは、水島新司『野球狂の 詩うた 』の火浦健、『ドカベン』の里中智からとり、初めて作品を雑誌に投稿した小学6年の頃から、今も変わらず使っています。
中学でも投稿を続け、美術系の高校に進みました。進路を考え出す頃、進学も就職も考えられず、音楽やファッション、デザインなど、幅広く興味をもつ自分が、確実に続けられることは何かを突き詰めると「漫画だけは続いている」と気づき、プロを志したといいます。
「職業として漫画家を選ぶ、と高校の先生に伝えるために、投稿を続けました」