「〇〇の日」など、何かと語呂合わせが好きな日本人ですが、12月12日は「いい(1)じ(2)いち(1)じ(2)=いい字一字」の日ということで「漢字の日」と定められているのをご存知でしょうか。
これは1995(平成7)年に、公益財団法人・日本漢字能力検定協会(日本語・漢字の普及啓発・支援活動、調査・研究、日本語能力育成活動を行う団体)が制定した記念日です。
この日は、毎年その一年間の世相を象徴する「今年を表現する漢字」を一文字、全国から募集し、もっとも応募数の多かった漢字が「今年の漢字」として、京都の清水寺で発表されることでも有名です。
一年の中でも、特にインパクトの大きかった出来事から選ばれることが多いので、災害や事件などといったものから、ちょっとマイナスな印象の漢字が選ばれることも珍しくありませんよね。
ちなみに、この「漢字の日」には、誰もが毎年「いい字」を少なくとも「一字」は覚えて欲しい――、という願いが込められているのだとか。
「いい字」がどんな漢字かという点については、それぞれの感性の違いもあるかもしれませんが、自分のお気に入りの漢字は深掘りしてみても素敵ですよね。
そういえば、子どもの頃は一年ごとに定められた数の漢字を律儀に習い覚えていたのになぁと思います。 大人になると、漢字ドリルを一生懸命やっていた子ども時代が、なんだか懐かしいですよね。 大人になってからは「新しい漢字を覚える」という機会がグッと減ってしまったようにも思います。
むしろ、パソコンやスマートフォンの便利な自動変換機能によって、漢字を手書きする機会がめっきり少なくなり、昔覚えたはずの漢字を思い出すのにひと苦労ということも。
そもそも、漢字は古代中国で発祥したものが日本にも伝わり、その漢字を元にして、独自のひらがなやカタカナが生み出されたと言われています。
現代の日本語は、ひらがな・カタカナ・漢字を複雑に織り交ぜながら文章が成り立っていますが、中でも漢字の数はもはや「数えきれない」と言っても過言ではないかもしれません。
日本の小学校で習う漢字は、学習指導要領によって1006字と決まっているのですが、日常生活で使われる漢字の目安とされる常用漢字は2136字です。
また同じ漢字であっても、旧字体・新字体の別や、本当に微妙な違いが複数存在する字も少なくありません。
なにより、漢字の奥深さと言ったら、やはりそこに込められた意味の広がりにあるのではないでしょうか。 漢字は、たった一文字の中に、一言では説明しきれないほどの意味を隠し持っていることも少なくありません。
漢和辞典を開いてみれば、その成り立ちも含め、一文字の漢字にどれほどの情報が収まっているのかが伺い知れるのではないでしょうか。
実のところ、私は漢和辞典を引くのが大好きで、祖父から譲り受けた古い漢和辞典を引いて、いろいろな漢字に込められた意味や由来を紐解いてみる遊びをすることがあります。 特におもしろいのは、人の名前に使われている漢字を詳しく調べてみること。 きっかけは、自分の名前の中にある漢字を、本当に何気なく漢和辞典で引いてみたことでした。
そこには、私自身もこれまでまったく知らずに過ごしていた特別な意味が込められていて、私はそこからさらに自分の名前に対する愛着が深くなったことを覚えています。
数ある漢字の中でも、あなたにとってお気に入りの一文字ができ、それが生きる中で少しずつ増えていけば、より日本語の言葉や文字を丁寧に汲み取り、大切に使っていけるような気がしませんか?
今日は漢字の日ということで、漢字を身近に感じ、親しむ一日にしてみてはいかがでしょうか。