いよいよ最終パートです。
今回はドラクエ6とドラクエ3の関係性について話しましょう。
と言っても俺の論じたいことは中編で大半やり終えているので今回は消化試合みたいな感じで読んでくれたいいよん。
いつも通り先に結論を言おう。
「リメイク版のドラクエ3」と「ドラクエ6」はロトシリーズと天空シリーズとを繋ぐ役割を持っている。
もし堀井先生に会う機会があって質問することが許されるのならぜひともこれについては伺ってみたいものだぜ!
では見ていこう。
【シリーズ最終章】
ドラクエファンの皆さんならドラクエ6とドラクエ3はいくつかの類似点をどうしても感じてしまうのではないだろうか?
どちらも三部作の最終章であるという位置づけながら、ダーマ神殿が出てきたり、大地の大穴が別世界に通じていたり、魔王と大魔王の関係性などなど細かいところも挙げればキリがないくらいだ。
また、三部作の最終章でありながら時系列には最初の話というのも共通している。
3のスーファミ版以降のリメイクではメダルおじさんやゼニス王なんてものまで出てきており、天空シリーズの匂いがぷんぷんするようになっている。
これらは間違いなく意図的な設定だろう。
ドラクエ3が勇者ロトの誕生を描く話なら、ドラクエ6は天空城の誕生を描いているわけだ(ドラクエ11はいったんなしで)。
が、核心に行く前に90年代のドラクエシリーズの発売状況について少し触れたい。
1988年2月 ドラクエ3 ファミコン版1990年2月 ドラクエ4 ファミコン版1992年9月 ドラクエ5 スーファミ版1993年12月 ドラクエ1・2 リメイクスーファミ版1995年12月 ドラクエ6 スーファミ版
1996年12月 ドラクエ3 リメイクスーファミ版
1990年に発売されたドラクエ4だが、当時のインタビューなどによると堀井先生は当初ドラクエ4を作ることには消極的だったようだ。
というのもドラクエ3で綺麗に完結して、やり切った感があったのでもういいだろうという思いがあったようである。
逆にドラクエ3の次を作るのであればナンバリングタイトルではなく、スピンオフ的な外伝をやる意向が当時はあったようで、これがのちのトルネコやモンスターズに繋がるのだろう。
が、しかし結果的にドラクエのナンバリングシリーズは継続、90年にドラクエ4は制作され、そしてこの作品はロトシリーズとは全く別の世界観で構成された名作となった。
92年にはドラクエ4の続編という位置づけではありながら、あくまでも独立した作品としてドラクエ5が生み出されやはり名作となった。
そしてこの流れにおいて95年にドラクエ6が発売されるのだが、その前の93年に発売後ドラクエ1・2のスーファミ版のリメイクが発売されている。
そして96年にはドラクエ3のスーファミ版リメイクが発売。
・・・という流れで、1996年当時において4以外はスーファミで遊べるようになっていた。
後に天空シリーズと呼ばれるドラクエ456だが、4と5を見る限りロトシリーズとの差別化がかなり意図的にされているように思える。
ロトやアレフガルド、光の玉といったロトシリーズの印象的なアイテムは天空シリーズでは出てこなかった。
しかしドラクエ6においてロトシリーズとの接点を匂わせる要素が急に頻発するようになる。
【精霊ルビス】
まずルビスという存在がドラクエ6に出てきたのがかなり大きい。
この精霊が出てくるだけで一気に天空シリーズとロトシリーズの関連性が深くなるし、妄想できる余地が膨らむのが面白い。
またドラクエ6におけるルビスの役割も実はかなり重要で、主人公がライフコッドを旅立つ動機を作り出しているし、黄金のドラゴンを呼ぶ笛を作ったことなども明かされている。
なおかつ「ムドーの島には代々悪魔が住み着いていた」という意味深なセリフもある。
基本的にはファンサービスということなんだろうが、俺はもう一歩踏み込んで考えていいと思っている。
というのもドラクエ4と5であれだけロトシリーズの匂いを消してやっていた天空シリーズの中にロトシリーズの匂いがぷんぷんするルビスを唐突に放り込んできたのはあまりにも不自然だ。
これはやはりドラクエ1~6が全部繋がる可能性があることを示唆していると見ていいだろう。
(とは言え、ルビスという同じ名の別精霊というふうに考えるのが一番無難な気もするんだけどね・・・)
残念ながらあんま似てねえんだよな・・・
※このルビスについての考察は語ると長くなるので今回は割愛するが、またいつか機会があればnoteを書くつもりだ
【卵】
ルビスの他にドラクエ6にはもう一つロトシリーズっぽいオブジェはある。
そう、クラウド城に行くと置いてある謎の卵だ。
結局具体的な正体は明かされないが、ドラクエ4をプレーした人間なら「あ!マスタードラゴンか、これ!」と思うだろう。
天空城とクラウド城のマップはそっくりだしな。
が、しかし俺は初めて遊んだドラクエは6だったので、当然マスタードラゴンや天空城なんてワードは当時は知らなかった。
だから「なんやねん、この卵?」とさっぱり理解できなかったし、エンディング見てもポカーンだった。
が・・・後に思わぬ形でこの卵の正体に気付くのだった。
前述した通りドラクエ6の発売した1年後1996年にスーファミ版ドラクエ3が発売される。
俺は誕生日プレゼントとして手に入れたドラクエ3を大いに遊んでいたのだが、ある日竜の女王の城に辿り着く。
すると竜の女王ははじめまして言う間もなく卵を産んで亡くなったのだ。
俺は驚愕した。
「あ・・ああ!!こ、この卵・・・!!
ドラクエ6のクラウド城にあった卵か・・・!?」
と思ったのだ。
←ドラクエ3 「卵」 ドラクエ6→
色合いも模様も似てね?
いや、わかっている。
確かにあの卵はドラクエ1のりゅうおうになるというのが定説だろう。
しかし当時俺はドラクエを6しかやっていなかったのでりゅうおうの存在すら知らなかったのだ。
さらにドラクエ3を進めて隠しダンジョンに行くと・・・
なんと!ゼニス1世という王の城に辿り着くではないか!!
俺の頭は混乱しつつも一本の筋が通った。
「そ、そうか・・・!!
竜の女王が生んだ卵をゼニス王が預かって、それがドラクエ6のクラウド城にあった卵なんだ・・・!!」
ドラクエ6とリメイクの3だけを遊んだ人間はこう解釈してしまうのだ。
【卵の中身は誰?】
じゃああの竜の女王が生んだ卵の中身は誰なのだろう?
結論としては「おまえが決めろ!!」ということになる。
ここからはあくまでも推測だが、堀井先生はあの卵がどうなるかをわざと曖昧にして描いている。
ロトシリーズからずっとドラクエをやってきた人間にはりゅうおうの卵にしか見えないし、俺のように6→3しかやっていない人間にはクラウド城の卵にしか見えないようにわざと作ったのだ。
ドラクエ6発売時のファミ通か何かのインタビューで堀井先生ははっきりと「想像して楽しんでくれ」という旨の発言をしていた(次回、国会図書館行ったときにちゃんと確認しとくわw)。
この発言をそのまま受け取るならば、堀井先生の真意はこうだ。
「ドラクエ6とリメイクのドラクエ3でロトシリーズと天空シリーズが繋がっていると解釈できるようにしておいた。
あとはおまえらが好きに想像して遊べ」
ということになる。
俺はクラウド城の卵になった派なので、ドラクエ3のラストでギアガの大穴が塞がれたのにどうやってあの卵の中の存在がアレフガルドに行くんだ?というふうにどうしても考えてしまう。
竜の女王と近しい関係であろうゼニス王が安全のために卵を預かる方が自然じゃないか?
という解釈もできるのだ。
【ドラクエ3の未来の世界がドラクエ6】
これらを総合的に考えると一つの仮説に辿り着く。
ドラクエ3の上の世界の未来の世界がドラクエ6の現実世界じゃなかろうか?
3の勇者がアレフガルドに消えたのちにバラモスがいなくなって平和になったドラクエ3の上の世界は独自に発展していった。
ダーマ神殿では上級職という概念が生まれ、アリアハンのメダルおじさんはメダル王にまでなり、ゼニス王の城は夢の世界を束ねるクラウド城となった・・・。
しかしその発展がデスタムーアの目につきそれぞれ滅ぼされて封印されることになったという・・・どうだろうか?
天空シリーズにおいてはロトシリーズの痕跡が感じられないのはアレフガルドとは全く別の発展をしていった結果だし、逆に2つのシリーズで呪文が同じなのも元は同じ世界を起源としたものだったからだ。
【なぜロトと天空を繋げたのか?】
最後にじゃあなんでロトシリーズと天空シリーズを繋げようと思ったのか?を考えて終わりにしたい。
比べるのも超絶おこがましいんだが・・・俺もツクールで何作か作ってわかったのは繋げたくなるんだよ!w
やっぱ愛着のある物語を複数作ったら、それを一つの世界観で繋げたいと思うのは俺はある意味当然のことだと思うんですよね。
例えば手塚先生や藤子不二雄先生も基本繋げている(or別作品のキャラが登場する)でしょ?
ゲームと漫画を同列には語れないとは思うんだが、でもやはり通ずる部分はあると思うのだ。
おそらく堀井先生もドラクエ4と5を作っている時点ではロトシリーズから独立した新たな世界を作っていこうと決めていたんだと思うんすよ。
ところがドラクエ6の作業とドラクエ3のリメイク作業をしている時にひらめいちゃったんだと思うんだよね、「あれ?これ繋げることできちゃうぞ?」と。
じゃあまずはドラクエ6にルビス出して、逆にリメイク版のドラクエ3にはゼニス王を出そう、と。
すごい手腕だよな、たったこのふたりのキャラを配置するだけで確実にロトシリーズと天空シリーズに関係性を持たせることができるんだから。
1996年当時においてドラクエ1~6はうっすらながらも繋がっているとい妄想ができるよう作られていたのだ!
【俺たちから何も奪わないでくれ】
と思ってたのに・・・ドラクエ11で俺はガッカリしました。
あそこまであからさまに繋がりをしっかり描かれると俺は逆に冷めちゃうんすよね。
このnoteで俺が長々とドラクエ1~6を繋げようとしているのと同じと思われるかもしれないが、これは大きく異なる。
制作側が明らかに繋がることを示唆していることと、こっちで勝手に想像して繋がるかも!と思うことには天地の差があるのだ。
前者は物語の神秘性や想像の余地が奪われる言っちゃなんだがタブーみたいなものだと思うのだ、そして後者はただの妄想で何の生産性もない愚行だ。
この愚行を俺はすることが大好きなので、流星街じゃないが
「俺たちは何も奪わないから、俺たちから妄想の余地を奪わないでくれ!><」
と俺は言いたいw
同じような気持ちがいる同志がいることを願って今回のドラクエ6論を締めたいと思う。
ドラクエ6に関しては俺独自の考察研究のネタがゴロゴロあるので、また気が向いたら書きます。
絶望の街で待ってるぜ!